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【CEDEC2020レポート】クオリティを引き上げる!Unity HDRPのライティング、カメラ、ポストプロセス設定

© 2020 Unity Technologiesゲーム
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2020年9月2日から3日間開催されているゲーム開発者向けカンファレンス、CEDEC2020の講演レポート。

本稿では、初日の講演、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社、Creator Advocates 大下氏の講演『クオリティを引き上げる!Unity HDRPのライティング、カメラ、ポストプロセス設定』のレポートを行う。

本公演では、ゲームエンジンUnityが提供する機能であるHDRPを用いて、フォトリアルな画作りを行う方法について紹介している。

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HDRPとは

HDRPとはゲームエンジン『Unityエンジン』のスクリプタブルレンダーパイプラインが予め組み込んでいる2つのレンダーパイプラインの一つ、『HDレンダリングパイプライン』である。もう一方のレンダリングパイプラインである『ユニバーサルレンダーパイプライン』に比べ、グラフィックボードを搭載したPCやPlaystation 4, XBox Oneを始めとした、ハイスペックなハードウェアに向けた環境をターゲットとしており、フォトリアルな絵作りが可能になっている。

はじめに

フォトリアルな画作りを実現するためには、シーンに登場するすべての値を、統一基準で扱うと非常に便利である。特に、実際の物理量の明るさの値を基準とすると、日常のシーンにおける物理量の明るさの値を参考にシーンにおける値設定が可能であるため、直感的に設定しやすくなる。これらのメリットを享受するために、UnityのHDRPでは、様々な物理ベースの明るさの値を扱えるようになっている。

光の物理単位には

  • カンデラ(cd)
  • ルーメン(lm)
  • ルミナンス(nit)
  • ルクス(lx)
  • EV値(EV)

等がある。

Unity HDRPではこれらの光の物理量を設定可能になっている。

上記の室内の明るさや屋外の明るさの物理的な値はゲームに限らず様々な分野で扱われており、これらの値を参考に、ゲームエンジン上に物理量として値を設定すれば、実際に近い画作りを再現可能である。

屋内も屋外も、同じ物理量としての明るさを設定することで一律に管理することが可能。

例えば、自然光や室内の明るさ

光源の明るさは、太陽や室内の実際の明るさを参考にすると設定しやすい。

環境に応じた露出の設定

カメラのEV値は、ゲームの光源環境を考慮して、実際のEV値を参考にすると決めやすい。

光源の色

光源の色味は色温度を参考にすると良い。

などの値は、インターネットなどを調べると、基準となる値を得ることが可能である。

すなわちアーティストは、従来のように感覚で値を設定するのではなく、実在するものの値を引用することにより、より容易に物理的な明るさを設定できるようになったのである。

本公演では、実際にこれらの値を利用してゲームエンジン上で設定するデモが行われた。

Unityエンジン上で適切に光源の値を設定した例。

カメラの設定

これまではライトの設定について取り扱ってきたが、それとは別にシーンの撮影側、つまりカメラ設定もシーンの絵作りとして重要なファクターとなる。シーンにおけるライト設定は、カメラに依らない設定だが、カメラはカメラごとに設定する個別の値である。

カメラには様々な設定があるが、ゲームにおけるシーンの絵作りには、下記パラメータが重要だ。ピント、焦点距離、シャッター速度、絞りの4つである。

カメラで設定できる値の代表例。

特にこの中でもゲーム内での「見た目」に直結する露出は特に重要で、値が適切でないとシーンが暗く落ち込みすぎたり、逆に白飛びしてしまったりする。この露出の大きさを現す値がEV値である。

環境のEV値とカメラのEV値。環境のEV値が明るすぎる場合は、カメラのEV値を大きくすると、ちょうどよくなる。

EV値はシャッター速度、絞り、ISO感度の組み合わせで決まる。シャッター速度、絞り、ISO感度はそれぞれブレやボケ、ノイズなどに影響するため、これらの設定を目的にあわせて適切に組み合わせることが必要である。

EV値は、シャッター速度、絞り、ISO感度の組み合わせで決まる。

Fogの設定

最後に、シーンの絵作りの雰囲気に影響する要素としてフォグについて紹介した。

フォグとは、大別して

  • 大気散乱
  • 霧・靄
  • 煙霧

がある。

大気散乱

大気散乱とは短い波長のみが大気に含まれる粒子により散乱される現象である。短い波長、すなわち青い光が散乱されるので、大気散乱が起こると青く見える。空が青く見えるのはまさにコレが原因で、レイリー散乱とよばれている。

レイリー散乱。微粒子が短い波長の光を散乱する。

また、山など遠ければ遠いほど、その山から目に届くまでに通る空気の層が厚くなるため、遠くの山程、青っぽく見える。これも大気散乱による現象である。

遠くの山が置いのもレイリー散乱によるものである。

霧や靄、そして雲は大気散乱と同じく、待機中に漂う水粒子により散乱されて遠くが見えにくくなる現象である。大気散乱と異なり、水粒子は粒子サイズが大きいため、波長に依らず光が散乱される。これを、ミー散乱という。

ミー散乱。微粒子が一定以上大きい場合は波長に依らず光を散乱する。

また光が通ったところがミー散乱により白く軌跡が残るライトシャフトと呼ばれる現象があるが、この現象もHDRPで実現可能だ。

煙霧も基本的には霧と同じで、塵や埃などの微粒子による光の散乱で起こる現象であるが、霧と異なり、微粒子に色がついている場合は散乱光に色が乗って見える場合もある。

霧と煙霧の違い。微粒子に色がついている場合は、フォグの色も変わる。

実際にUnityエンジン上でこれらフォグパラメータを設定し、どのような画作りができるのかがわかるデモが行われた。物理量としての明るさが設定されたシーンに対しフォグを設定するとこのような画作りが実現できる。ライトシャフトも見ることができる。

フォグボリュームをシーンに配置した例。画面左側にフォグボリュームが設定されている。

まとめ

Unityエンジンのハイエンド向けレンダリングパイプラインHDRPでは、物理量としての値を設定することが可能である。絵作りのために有用な物理量には、ライトの明るさ、カメラの露出、フォグなどの設定がある。インターネットなどに公開されている物理量を参考に値を設定することで、より簡単に、画作りを実現することが可能である。

Unityでフォトリアルな画作りを試したい方はぜひ、本公演で紹介いただいたパラメータの設定方法を試してみることをおすすめしたい。

本公演の資料は後日公開予定だ。

公演情報

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